⑥SEO運用・分析・意思決定編 ― 一人でSEOを回す
「順位が落ちました」ではなく「原因候補はA/B/C、まずXを直しYを観測します」と説明できるようにする。

6-1SEO担当者の思考法
- 事象と原因を分ける。順位低下は原因ではなく結果。
- 相関と因果を分ける。「変更後に上がった」だけでは施策効果と断定しない。
- 一つの数字で判断しない。GSC、クロール、SERP、競合、売上をつなぐ。
- 仮説は最低2〜3個持つ。最初の思いつきを正解にしない。
- 「調べれば分かること」と「実験しないと分からないこと」を分ける。
- 施策には必ず成功判定のKPIと観測期間を置く。
6-2順位が落ちたとき
6-3インデックスされないとき
| 確認 | 主な異常 |
|---|---|
| HTTP | 200以外、タイムアウト、WAF/Cloudflareブロック |
| robots/noindex | クロール不可、noindex残存 |
| canonical | 別URLへ向いている/Googleが別URLを選択 |
| 内部リンク | 孤立、JS依存でクロールできない |
| サイトマップ | 未掲載、非正規URL混入 |
| 品質・重複 | 薄い、重複、パラメータ大量生成 |
| サイト全体 | 新規・大規模・クロール負荷 |
6-4表示回数は増えたのに売上が増えないとき
表示回数増加は上流のシグナルであり、売上増加を保証しない。まず「何のクエリが増えたのか」を分解する。Knowクエリだけ増えている、順位が11〜20位で表示だけ増えた、AI機能で露出したがクリックが少ない等のケースがある。
| 段階 | 確認 |
|---|---|
| 需要 | 商用クエリが増えたか |
| 順位 | クリックされる位置まで上がったか |
| CTR | SERP表示・タイトル・ブランドに問題ないか |
| LP | 検索意図とページが一致するか |
| CVR | 価格・在庫・配送・信頼・UIに問題ないか |
| 粗利 | 売上は増えたが利益が薄くないか |
6-5競合が突然上がったとき
競合上昇は「自社が悪くなった」とは限らない。競合のページタイプ変更、新しい内部リンク、被リンク獲得、ドメイン変更、コンテンツ更新、SERPの意図変化、アルゴリズム更新などを確認する。
- Wayback/変更履歴でページ差分を見る。
- Ahrefs等で新規参照ドメイン・リダイレクトを確認する。
- site:だけでなくクロールして構造変化を見る。
- 自社も同じ施策をすべきかは別途判断する。競合のリスク施策を自動追随しない。
6-6SEO施策の優先順位
施策はImpact(期待効果)、Confidence(確信度)、Cost(工数・費用)、Speed(反映速度)、Risk(失敗時影響)で評価する。簡易スコア化し、声が大きい人の思いつきだけで順番を変えない。
| 施策 | Impact | Confidence | Cost | Risk | 優先度例 |
|---|---|---|---|---|---|
| 主要カテゴリのインデックス事故修正 | 5 | 5 | 2 | 1 | 最優先 |
| 主要商品の内部リンク強化 | 4 | 4 | 2 | 1 | 高 |
| 全商品title一括変更 | 3 | 2 | 4 | 3 | 要テスト |
| 高額OLDドメイン購入 | 4 | 2 | 5 | 4 | 個別審査 |
6-7サイト移転・リニューアル・削除・統合
ECのSEO事故は、日常のリライトよりサイト移転・システム変更・URL変更で大きく起きる。開発案件にはSEOの事前チェックを必須化する。
| 場面 | 最低限の対応 |
|---|---|
| ドメイン移転 | 全URLマッピング、301、canonical、sitemap、GSC、内部リンク更新 |
| URL変更 | 旧→対応新URL、リンク・canonical・sitemap修正 |
| 記事削除 | 流入・リンク・売上・代替ページを確認し、404/410/301/統合を選ぶ |
| 記事統合 | 内容を実際に統合し、旧URLから最も関連する統合先へ301 |
| システム移行 | 本番前クロール比較、status/noindex/canonical/robots、JSレンダリング確認 |
6-8SEO変更履歴と検証設計
SEOは結果が遅れて出るため、変更履歴がないと因果関係をほぼ追えない。すべてのSEO施策を「いつ・何を・どこに・なぜ・何を見て成功判定するか」で記録する。
| 記録項目 | 例 |
|---|---|
| 日付 | 2026/08/xx |
| 対象 | /category/... |
| 変更 | 内部リンク追加/301/title変更等 |
| 仮説 | カテゴリ評価を商品群から集約 |
| KPI | 対象KW表示・順位・クリック |
| 確認日 | 1週、2週、4週 |
| 結果 | 成功/失敗/不明 |
| 次の行動 | 継続/戻す/追加検証 |
6-9AI時代のSEO実務
AIはSEO担当者を置き換えるのではなく、調査・集計・仮説生成・実装支援を高速化する。最終判断は、データの正確性、法令、サイト固有事情、リスクを理解する人間が持つ。
| AIに向く | 人が必ず見る |
|---|---|
| GSC/CSVの集計、クエリ分類 | データ期間・欠損・計測定義 |
| 競合ページの構造比較 | 事実確認、著作権、最新性 |
| 内部リンク候補抽出 | 本当に関連しユーザーに有用か |
| 記事構成・初稿 | 医薬品等の正確性・表現・根拠 |
| コード修正案 | 本番影響・セキュリティ・SEO副作用 |
| クロール問題の仮説 | 実レスポンス・ログで検証 |
6-10日次・週次・月次運用
| 頻度 | 見るもの | 目的 |
|---|---|---|
| 日次 | 重大障害、主要KW急落、GSC異常、インデックス事故 | 早期発見 |
| 週次 | 主要クエリ、主要URL、競合、施策履歴、クロール | 変化と仮説の確認 |
| 月次 | 自然検索売上、CV、Money Map、カテゴリ別成績、削除/改善候補 | 投資配分 |
| 四半期 | サイト構造、被リンク、競合戦略、ツール/ルール更新 | 戦略見直し |